「すべてがトークン化され、AIが評価と配分を回す経済」になると、 “労働する人”から、“意味をつくる人 / ルールを選ぶ人”へ 重心が移ると考えられる。
1) 仕事観:職業より「貢献のポートフォリオ」になる
- 会社・肩書・月給みたいな“バッチ処理”の単位が弱まり、
- 小さな成果・協力・レビュー・発見・コミュニティ運営などが、断片として評価されやすくなる。
人は「一つの職業人格」よりも、
- 複数のプロジェクトに跨る
- 役割を切り替える
- 短いサイクルで学習して適応する
方向に引っ張られます。
副作用として、評価に晒される時間が増える(常時オーディション化)可能性も高いです。
2) 自己観:人格が「スコア化される」圧力と戦うことになる
トークン化×AI評価が進むと、社会は放っておくとこうなりがちです。
- “測れるもの”が報われる
- “測れないもの”が見えなくなる
- 自己は「点数を上げる対象」になりやすい
すると人間は、2つの生き方に分岐します。
A. 最適化する自己(スコア最大化)
短期の報酬や評価関数に合わせて、言動・関係・学習をチューニングする生き方。
- 強いが、疲弊しやすい
- 他者も“リソース化”しやすい
B. 意味を守る自己(非スコア領域の確保)
ケア、友情、遊び、沈黙、熟成、失敗、遠回りみたいな「計算不能」を意識的に守る生き方。
- 豊かだが、制度設計が伴わないと不利になりやすい
ここが人間の在り方の核心で、“価値=価格”に回収されない生の領域を社会が残せるかが勝負になります。
3) 社会観:人間の役割が「実行者」から「設計者・監督者」へ
AIが市場の最適配分を担うほど、人間が担う重要な領域はこう変わります。
- 目的関数を決める(何を良いとするか)
- ルールを決める(どう測り、どう配るか)
- 例外を扱う(救済、猶予、やり直し)
- 責任を引き受ける(誰が被害を負担するか)
- 物語をつくる(共同体が何を尊ぶか)
言い換えると、人間の仕事は「計算」ではなく “規範”と“意味”の編集に寄っていきます。
4) 身体と時間:いちばん奪われやすいのは「遅さ」
超高速流動性の世界は、「遅いもの」を不利にしがちです。
でも人間の大事なものって、だいたい遅い。
- 信頼の醸成
- 熟考
- 回復
- 共同体の維持
- 創造(試行錯誤)
だから、個人にも社会にも「遅さを守る設計」が必要になります。
(例:評価の頻度制限、匿名・無評価の活動空間、最低生活の非市場的保障、失敗に対するセーフティネット等)
まとめ:人間はどう変わる?
- 経済的には:職業人 → 貢献の束(ポートフォリオ)
- 心理的には:自己 → スコア化圧力と“非スコア領域”の防衛
- 社会的には:実行者 → 目的・ルール・例外を設計する存在
そして一番大きいのはこれです。
人間は「価値を生む」だけでなく、
「価値とは何か」を決める側に押し出される。